【第7回】足関節(足首)捻挫について

本コラムでは、当クリニックを受診された患者様が経験されたスポーツ外傷や障害について、その病態や治療、治るまでの期間などについて解説させていただきます。

第7回は、足関節捻挫(足首捻挫)を取り上げます。
第3回に引きつづきアメリカ大リーグで活躍中の大谷選手の話題です。

開幕から神がかり的な大活躍をしていた大谷選手ですが、
2018年4月28日内野ゴロを打って1塁ベースを駆け抜けた際に足関節捻挫を受傷しました。

(写真1)大谷選手、左足関節捻挫受傷

全米のみならず日本の大谷ファンをも震撼させましたが、
意外に回復が早く現在はすでに試合復帰をはたし更なる活躍をしています。

また、5月6日にはサッカー、リーガ・エスパニョールのクラシコで、
あのクリスチアーノロナウドが右足関節捻挫を受傷しました(写真2)。

5月26日のヨーロッパチャンピオンズリーグ決勝に間に合うか、
ジダン監督は大事を取ってロナウドを途中交代させました。

(写真2)レアルマドリードのクリスチアーノロナウド、右足関節捻挫受傷

そもそも足関節捻挫は野球やサッカーだけでなく、
多くのスポーツで起こりうる極めて頻度の高い外傷です。

いったい足関節捻挫は軽症なのか?重症なのか?
今回のブログではその辺の疑問を解決していこうと思います。

足関節捻挫の原因と病態

多くの場合、スポーツ中に足首を内側に捻じって発症します
(大谷選手の場合は珍しい足を外側に捻じる捻挫でした)。

足関節で骨と骨をつなぐ靭帯が引き延ばされて損傷します。
スポーツ以外でも、歩行中段差や階段で足首を捻じったりしても生じることがあります。

足を内側に捻じったときは足関節の外側の靭帯が、
足を外側に捻じったときは足関節の内側の靭帯が損傷します。

足関節の周囲には多くの靭帯がありますが(図1)、
最も損傷を受ける頻度の高い靭帯は前距腓靭帯です。 (図1)足関節の外側の靭帯(日本整形外科学会 症状・病気を調べるより)

症状

足関節のくるぶし周囲や、時には足の指先までも晴れることがあります(写真3)。 (写真3)自院の症例(足の指先にまで腫脹が及んでいます)

腫れの程度や範囲は、おおむね靭帯の損傷程度に比例します。 足関節外側の捻挫は、靭帯の損傷程度により下記のように3段階に分類されます。

1度捻挫:前距腓靭帯の部分損傷
2度捻挫:前距腓靭帯の完全損傷
3度捻挫:前距腓靭帯断裂+踵腓靭帯損傷

診断

足首を捻じったという受傷原因が明らかで、くるぶしの周囲に圧痛や腫脹があれば、足関節捻挫が予想されます。 しかし、捻挫だと思っても骨折や、子供の場合は骨端線損傷(写真4)などを伴っている場合があるので、X線検査は必須です。

(写真4)13歳、男性、バスケットボールで受傷:捻挫と同じような症状でしたが、腓骨骨端線損傷(X線写真で骨端線の一部が離れています)も合併していました。

靭帯はX線では直接見ることができません。
そこで、ストレスX線と言って、足関節捻挫が起きた時と同じ方向に外力をかけて、骨がどのくらいずれるかを見て損傷程度を判断するという診断方法があります。

以前は必ず行っていた検査ですが、患者さんに痛みを与える検査ですしX線の被爆量も多くなるので、最近はストレスX線ではなく靭帯を画像で見れる超音波(エコー)検査を行う場合があります。

当クリニックでも、ストレスX線は行わず超音波(エコー)検査を行って靭帯の損傷程度を判断しています(写真5)
(写真5a)16歳、男性、ラグビーで受傷:腓骨側で断裂して緩んでしまった前距腓靭帯
(写真5b)16歳、男性、受傷側と反対側の正常な前距腓靭帯:腓骨と距骨をつなぎ、緊張しているのがわかります

治療

受傷直後に現場でまず行うべき治療は、RICE処置(R=Rest:安静 I=Icing:冷却 C=Compression:圧迫 E=Elevation:挙上)です。その後の治療は靭帯損傷の程度に応じて選択します。

1度捻挫:
腫脹、疼痛が軽快したらリハビリテーションを行い、1週間から2週間でスポーツ復帰を目指します。

2度捻挫:
1度捻挫と同様に、初期治療後リハビリテーションを行います。
通常、スポーツ復帰には3週間以上かかります。

3度捻挫:
受傷直後の腫脹、疼痛が強い例には、ギプスや装具(アンクルサポート)などで足関節を固定し松葉杖を使用します(2から3週間)。

その後、リハビリテーションを行いますが、通常スポーツ復帰までには6週間以上を要します。不安定性が著明な例には手術を行う場合もあります。

リハビリテーション

初期治療の後、捻挫して固くなった足首の動きを良くする運動を行いながら、足首周囲の筋力強化を行います。 バランスをとる練習を行ったら、それぞれのスポーツ特有の動きの練習に入ります。