【第3回】投球障害について

2018年アメリカ大リーグでは大谷投手が開幕から投打で大活躍し、ベーブルース以来の高評価を得ています。 もともとわが国での野球人気は高く、青少年の競技人口もサッカーと並んで多いのが現状です。しかし、上達しようとついつい練習量が増え、肩肘を壊し、競技を断念せざるを得ないといった残念な選手も過去にはたくさん存在しました。

(写真1)

そこでスポーツドクターコラム第3回は、青少年の投球障害(野球肩・野球肘)について、当クリニックの理学療法士 柳沢 槙一(写真1)が解説させて頂きます。

野球肩:15〜16歳に多い

インピンジメント症候群

肩関節は体の中でも動く範囲の広い関節のうちの一つであり、同時に不安定な関節でもあります。肩周りの筋肉の疲労・硬さによる筋肉の機能低下が生じると、腕(上腕骨)を肩甲骨に引き寄せておく事が出来なくなります。
そうした状態で投球をすることによって、加速期(写真2)やフォロースルー期(写真3)で上腕骨が筋・腱などにぶつかるインピンジメント(図1)が起こります。

(写真2)加速期
(写真3)フォロースルー期
(図1)インピンジメントの模式図
標準整形外科学より

野球肘:11〜12歳に多い

内側型

投げ過ぎや悪いフォームでの投球によって肘内側の靭帯(内側側副靭帯)や腱に負担がかかる事で起こる障害で、症状の出る部位や程度、原因は様々です。

離断性骨軟骨炎

小学生の約3%で発症すると言われています。主に投げ過ぎによって肘の外側の軟骨(上腕骨小頭)に剥離が起こる。 初期では自覚症状があることはほとんど無く、自覚症状があって受診された方の殆どは手術をしなければならない治らないところまで進行している事が多いのが特徴です。 自覚症状がない為、特に投球数が多くなりやすい投手・捕手は定期的にレントゲンやエコー(超音波)検査を受けることをお勧めします。

(図2)離断整骨軟骨炎の模式図
標準整形外科学より
(図3)離断整骨軟骨炎のレントゲン画像
標準整形外科学より

投球障害は肩・肘に好発する疾患ですが、原因は柔軟性・筋力・下肢体幹の使い方・フォームなど多岐に渡ります。同じ症状でも治療内容・リハビリの内容が異なることが殆どですので、違和感があれば早めに受診することをお勧めします。

練習時間と投球数の目安

練習時間

小学生 :週3日以内、1日 2時間をこえないこと
中高校生:週1日以上の休養日をとること
個々の選手の成長,体力と技術に応じた練習量と内容が望ましい

全力投球数

小学生:1日50球以内、試合を含めて週200球をこえないこと
中学生:1日70球以内、週350球をこえないこと
高校生:1日100 球以内、週500球をこえないこと
1日 2試合の登板は禁止すべきであるとも記載されています。
参考)日本臨床スポーツ医学会誌: Vol. 13 Suppl., 2005. より一部改変