【第2回】 成長期の中学生や高校生に起こりやすいスポーツ中の骨盤裂離骨折について

スポーツ外傷と障害

本コラムでは、当クリニックを受診された患者様が経験されたスポーツ外傷や障害について、その病態や治療、治るまでの期間などについて解説させていただきます。
第2回は、成長期の中学生や高校生に起こりやすいスポーツ中の骨盤裂離骨折についてです。

骨盤裂離骨折

(図1)骨盤への筋肉付着部

成長期にある中高生の骨盤には骨端線とよばれる大人の骨よりも弱い部分が残っているうえに、そこには大腿につながる大きな筋肉が付いています(図1)。これらの筋肉が急激に収縮すると、そのけん引力によって力学的に弱くなっている骨端線部が骨盤から剥がされるような骨折を起こします。

上前腸骨棘裂離骨折

スタートダッシュなどの際に縫工筋と呼ばれる筋肉が強く収縮して骨がはがされるような骨折が起こります。

下前腸骨棘裂離骨折

サッカーのシュートなど、強いキック動作の際に急激に大腿直筋が収縮して、その筋力に骨盤の下前腸骨棘が剥がされるように骨折が起こります。

症状::成長期の中高生がダッシュ、ジャンプ、キックなどの際に、骨盤部に強い痛みを訴え歩けなくなったら、この骨折が疑われます。

診断::X線で骨折が確認できます(図2)が、はっきりしない時はCT検査を行う場合もあります。

治療::痛みの強い時期は、安静が必要です。痛みのために患側の下肢に体重がかけられない場合は松葉杖を使用します。痛みが軽くなったら股関節、膝などの関節可動域訓練や筋力訓練を開始します。4~6週間でジョギングが可能となり、2~3か月後にスポーツ復帰が可能となります。ほとんどの例は手術なしで骨癒合し治癒しますが、骨片のずれが大きな場合は手術が必要になることもあります。

予防:この骨折を予防するには、骨盤周囲の筋肉や股関節のストレッチを十分に行うことと正しいランニングフォームやキックフォーム(図3)を習得することが大切です。

(図2)下前腸骨棘裂離骨折(→:裂離した骨片 実際の症例のX線写真)
(図3)正しいフォームでシュート!