ゴルフの障害予防

ゴルフは年間924万人がプレーする国民的なスポーツであり、 中高年でもできる高齢社会にふさわしいスポーツとされ、運動強度は高くないと言われています。
しかし、日ごろデスクワークのみの運動習慣のない人には 大きな負荷となりうるという事を知っておくと、 障害が起こる可能性を減らすことにつながると考えています。

今回は、ゴルフに必要な動きと起こりやすい肩・腰・膝の障害の例について解説します。

スイング

ゴルフは同一の動きを反復するスポーツであり、間違ったフォームで行うと負担の偏りが起こります。それにより、負担のかかった組織の損傷が起こることがあります。

写真1:スイングの相

肩の障害

Flying elbowという言葉を聞いたことがあるでしょうか。 いわゆるテイクバック~トップオブスイングで右脇が空いてしまう状態です。(写真2)

写真2:Flying elbow
写真3:Chicken wing
写真4:痛みの出る肩の動き

Flying elbow、Chicken wingの格好は写真4に近い動きとなります。 写真4の格好は肩の上の組織を挟み込む事で組織の損傷の有無を調べる検査です。

スイングの度に組織を挟み込む事で損傷が起こることは想像に難しくありません。 良好な姿勢は、写真1トップオブスイング相のように右の脇はある程度絞っておく必要があります。

腰の障害

腰の障害は腰痛が主で、アドレスの姿勢と股関節の柔軟性が重要であると考えます。

写真5:C-posture
写真6:S-posture
写真7:I-posture

これらの写真のように丸まり腰の反り、不十分な前傾姿勢のアドレスからスイングが始まると、腰の負担が高まります。 これらの姿勢は腰だけでなく、肩・肘・手首にも大きな影響を及ぼします。

膝の障害

膝を捻ってみると、ほとんど捻ることが出来ないことが分かると思います。
本来膝は構造的に回旋には強くありません。さらに「腰の障害」の主な原因も、腰で捻ろうとすることが一因となっています。

ゴルフは横の体重移動も重要ですが、捻りの動きも重要です。

ではどこで捻ればいいかというと、股関節で捻ることが重要とされています。 テイクバック~トップオブスイングにかけては右股関節が内側に捻り、 インパクト~フィニッシュでは左の股関節の捻りによって体全体を回旋することが重要です。
これがうまくいかないと、インパクト付近で左膝に捻る負担がかかります。

写真8:右股関節の捻り
写真9:左股関節の捻り

対応策

これらの障害は代表的な例になります。フォームを見直すことで障害予防につながると考えます。 もちろん、理想的なフォームでスイングすることが出来れば最高ですが、 今の体の動きでどのようにして負担の少ないスイングをするかという事を考えるのも重要だと思います。 ここではその一例をご案内します。

フォームの改善はもちろん大切ですが「大きなスイングをしない」「番手を上げる」これらによって肘の上がる高さをコントロールしてみましょう。

股関節

股関節の柔軟性が足りない方は多くいらっしゃいます。ストレッチをするのが重要ですが、可動域を改善するには長い時間がかかります。 写真10:左足を外側に向けた足の位置
少し極端な例ですが写真10のように左足を外側に向けることで、 左膝が捻られることを予防します。

この方法は左脚で踏ん張ることが出来ないため、いわゆる「左脚で壁を作る」ことが出来ません。
あまり良い方法とは言えませんが、長くゴルフを続けるためには、何かを犠牲にする必要もあります。

最後に

今回はゴルフで起こりやすい障害の一例を紹介しました。 ゴルフは長く続けられるスポーツで、楽しみにされている方も大勢いらっしゃると思います。 当クリニックでは、今回紹介したような正しいフォームから、 患者様に合わせた対応策までご案内することも可能です。 一緒に長くゴルフを続けられる方法を見つけませんか。

参考
臨床スポーツ医学:Vol,33, No 3(2016-3):写真1-3,5-9
スポーツ外傷・障害に対する術後のリハビリテーション:写真4

理学療法士 柳沢 槙一

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