【第16回】肋骨骨折

本コラムでは、当クリニックを受診された患者様が経験されたスポーツ外傷や障害について、
その病態や治療、治るまでの期間などについて解説させていただいています。
久しぶりに書かせていただきます。

開院以来多くのスポーツ外傷や障害の患者様にご利用いただきこの場を借りて感謝申し上げます

今回は、スポーツ以外でも日常生活において非常に受傷機会の多い肋骨骨折について語ろうと思います。
私が病院に勤務している時は、実はあまり肋骨骨折を治療することは多くありませんでした。

というのは、大きな病院を受診する肋骨骨折の患者様は重症の方がほとんどで、
肋骨骨折に伴う肺挫傷や血気胸などといった内臓の損傷を伴っていることも多く、
そうした場合は胸部外科が治療しておりました。

しかし、クリニックに来られる肋骨骨折の患者様はそこまで重症の方はあまりいらっしゃらなくて、
スポーツや日常生活の中で胸をぶつけて肋骨部が痛いとおっしゃって来院される方がほとんどです。
とは言っても、肋骨骨折はとても痛い外傷です。

受傷した直後はまさに息ができないくらい痛むものです。
実はわたくし自身もフットサルでファールを受け転倒した際に肋骨骨折を受傷した経験があるので、その痛みはとてもよく理解しているつもりです。

肋骨は手足の骨と異なり、ギプスなどで強固に固定することができないため、受傷後しばらくは起き上がる時や咳をするとき、笑った時にも痛みが生じます。 ですから、肋骨骨折をした人を笑わせてはかわいそうなのです。

【症状と自然経過】

 受傷初期は当然のことながら損傷した側の肋骨に痛みが生じます。
受傷直後はそれこそ息もできないくらいの痛みですが、時間の経過とともに痛みは和らぎます。

しかし、時間が経っても呼吸が苦しいようなときは肺の損傷を伴っている場合が考えられますので、クリニックではなく救急病院を受診するか救急車を呼びましょう。
そこまで深刻でなさそうなら、安静にして患部を冷やすなどしてください。
強い痛みが続くようなら、整形外科クリニックを受診しましょう。

【診断】

まずは、通常のX線撮影を行います。
単純X線ではっきりと診断できる骨折もありますが、わかりにくい例が多いのが肋骨骨折の特徴です(写真1)。


(写真1)肋骨は何本か重なっていたり、肺や心臓の影と重なっていたりして、骨折がわかりにくい場合があります。

このような場合CT検査、特に3DCTを撮影すると、通常のX線検査でわかりにくい骨折でもはっきりとわかることがあります(写真2)。


(写真2)3DCTで肋骨が5本も折れていることがわかります。   

【治療】

 肺に合併損傷を伴わない肋骨骨折は、ほとんどがバンド固定をして鎮痛剤を投与して、約1か月間激しい動きをしなければ骨折は治ります。
後遺症を残す例は、ほとんどありません。

【症例】

 当クリニックを受診された45歳の男性の例を提示します。
ブラジリアン柔術(写真3)で受傷されました。


(写真3)ブラジリアン柔術 写真は患者様本人ではありません。
ブラジリアン柔術はグレイシー流柔術とも呼ばれ、体格や力で勝る相手に対しても勝てるようにと考案されました。
寝技主体の組手が中心で、まったくの初心者からでも始められるハードルの低さから競技人口が急速に増加しています。

患者様は立派な体格の方でしたが、受診時は左肋骨に強い痛みを訴えていらっしゃいました。
この方の場合は、単純X線検査で、はっきりと肋骨骨折が確認できました(写真4 →)

(写真4)→部が骨折部です
保存的治療を行い、受傷後約2か月でスポーツ復帰される予定です。

スポーツ外傷における肋骨骨折は、格闘技などのコンタクトスポーツの他にゴルフスイングでの骨折が有名です。
ゴルフ中に肋骨が痛くなった場合にも、是非、整形外科を受診してみてください。

予防接種、各種検診、リハビリに関しましては、お電話もしくは直接ご来院時のご予約のみ受け付けております。