【第12回】スポーツ少年・少女の踵の痛み シーバー病

本コラムでは、当クリニックを受診された患者様が経験されたスポーツ外傷や障害について、
その病態や治療、治るまでの期間などについて解説させていただきます。

第12回は、前回に引き続き発育期のスポーツ少年を悩ませる病気の一つ、
シーバーまたはセーバー病について述べたいと思います。

10歳前後のスポーツ好きな子供が踵(かかと)を痛がり、
同時にその部位が腫れてくる病気がシーバー病です。

日本語病名では踵骨(しょうこつ)骨端症と言いますが、
シーバーとは1912年にこの病気を発見した医師
Sever(シーバーまたはセーバー)の名前からつけられた病名です。

以下の解説では、病名をシーバー病に統一させていただきます。

【病態】

ランニングなどのスポーツ動作の際には、踵の骨(踵骨=しょうこつ)に付着しているアキレス腱と足底腱膜が踵骨を引っ張る力を加え続けます。

ところが、発育期の子供は踵骨へのこれらの腱付着部がまだ大人の骨にならずに成長軟骨(医学用語では骨端核といいます)という骨よりも弱い構造になっています。

そのため、過度の運動を行うと、この成長軟骨部に痛みや腫れが出現することがあります。
こうして、シーバー病が発症します。
この病態は、前回のスポーツドクターコラムで解説させていただいたオスグッド病によく似ています。

【診断】

特徴的な臨床症状から診断が可能ですが、X線検査(写真1)をすると、踵骨骨端核がひときわ濃く写っていたり、分節化といって割れて見えたりすることがあります。

当クリニックを受診された10歳の野球少年の例を紹介します。
両側の踵の痛みを訴えて来院されました。

歩行は問題ありませんでしたが、走ると踵が痛むという状態でした。
典型的なX線所見から、両側シーバー病と診断しました。

(写真1)当クリニックを受診された10歳の野球少年の両側の踵骨のX線所見。
左右の踵骨の骨端核の形が違うように見えるのはX線の撮り方の問題だと思われますが、
両側とも骨端核の濃度が上昇(白さが強い)し、分節化(→部で骨端核が割れて見える)を認めます。

【治療と予防】

シーバー病による踵の痛みが出現した時は、まずスポーツを休まなければなりません。
悪化させると、痛みが消えるまでの期間が長くなります。
早めに医療機関を受診して、正しい診断のもとで治療を開始しましょう。

2~4週間の休息で痛みが消失しても、再びスポーツを開始すると痛みが再発することが少なくありません。底の柔らかい靴を着用すると症状が和らぐ場合もあります。
予防のためには、スポーツの前後にアキレス腱のストレッチや足底腱のストレッチを行うようにするとよいでしょう。

【スポーツ復帰までの期間】

発育期のお子さんが痛みのためにスポーツができなくなるのはつらいことです。
早くスポーツに復帰したい気持ちはよくわかりますが、痛みを抱えながらスポーツを続けても上達が遅く良いプレーができないばかりか、体の他の部位にも障害を発生させてしまうことがあります。あせらず、しっかり治しましょう。

そして、完全に痛みが取れてから、また思いっきり好きなスポーツを楽しみましょう(写真2)。

(写真2)痛みが完全になくなってからピッチに飛び出そう!