【第5回】そもそも肩こりとは?

腰痛、肩こりコラム第5回は、これまで何の解説もなくタイトルにしてきた肩こりについて少し医学的に語りたいと思います。

そもそも肩こりとは、首すじ、首の付け根から、肩や背中に張った、凝った、痛いなどの感じがすることです。ひどい場合は、頭痛や吐き気を伴う場合もあります。
肩こりの痛みは、主に僧帽筋という筋肉の痛みと考えられています。僧帽筋は首の後ろから肩、背中にかけて張っている筋肉です。


(図1)肩こりの主病巣は僧帽筋(日本整形外科学会HP 症状・病気を調べるより)

原因

肩こりの原因としては一般に以下の様な事柄が考えられています。

首や背中が緊張するような姿勢での作業
悪い姿勢(猫背、前かがみ)
運動不足
精神的ストレス
なで肩
長時間連続して同じ姿勢をとること
ショルダーバッグ
冷房など

診断

肩こりを訴える方の中には、頸椎疾患、頭部疾患、高血圧症、眼疾患、耳鼻咽喉科疾患、肩関節疾患などをお持ちの方もいらっしゃいます。
肩こりで医療機関を受診する場合は、基本的には整形外科でよいとは思いますが、診察結果によっては内科や眼科、耳鼻科、脳血管外科などに依頼させていただくこともあります。

治療

上記で述べた各種疾患が否定されれば、
肩こりの治療は僧帽筋の緊張を取り除くことが主体となります。

マッサージ療法(筋肉の血流を改善、緊張をやわらげる)
温熱療法(筋肉の緊張を和らげる)
運動療法(筋力の強化)
薬物療法(湿布剤、筋弛緩薬、ブロック注射など)

上記のなかで、最近注目されているのが筋膜リリース(Fascia hydrorelease)です。

痛みが起こっている場所は筋肉と筋肉の間の筋膜の滑りが悪いからという説があります。
そこで、この筋膜の部分に麻酔薬や生理的食塩水を注射して筋膜の滑りを良くして痛みを緩和するという方法で、実際に有効だったという論文もあります1)。

筋肉と筋肉の間になんて、上手く注射を打てるの? という疑問もわくかと思います。
ご安心ください。 超音波装置(エコー)で実際の筋肉を見ながら、
筋肉と筋肉の間に薬液を注入するエコーガイド下注射という方法があり、
当クリニックでも実施しています(写真2)。


(写真1)わかりにくいですが、実際の症例です。患者さんがうつ伏せになっていると思ってください(上が背中、下が胸)。エコーを見ながら僧帽筋と菱形筋の間の筋膜の部分に背中に注射をして薬液を注入し、筋肉と筋肉の間が広がりました。

当科では、さらに運動療法も加えることによって頑固な肩こりの治療を行っています。
肩こりでお悩みの方は、是非ご相談ください。

文献
1)T.Kobayashi et al. Effects of interfascial injection of bicarbonate Ringer’s solution, physiological saline and local anesthetic under ultrasonography for myofascial pain syndrome-Two prospective, randomized, double-blinded trials-. 金沢大学十全医学雑誌2016, 125:40-49