【第3回】「あなたの心拍数、大丈夫ですか?」心拍数と寿命

厚生労働省の発表によると、2016年の日本人の平均寿命は女性87.14歳、男性80.98歳と、いずれも過去最高を更新しています。今回は寿命に関連した身近な指標として、心拍数(一定の時間内の心臓の拍動回数)について考えてみたいと思います。

人間の成人の安静時の心拍数の正常値は、1分間に60~100回とされていますが、平均的には60~70回で、85回以上は比較的まれです。哺乳類では、ハツカネズミの心拍数は1分間に約600~700回で寿命は2~3年、ネコの心拍数は1分間に約120~180回で寿命は約10~15年、ゾウの心拍数は1分間に約30回で寿命は約70~80年と言われています。

これらの動物の一生涯の総心拍数を計算すると、いずれも約10~15億回となることから、一般に心拍数が早い動物の寿命は短く、心拍数が遅い動物の寿命は長いと考えられます。人間にもこの考え方を当てはめて、1分間の心拍数を約70回として計算すると、人間の寿命は約30~40年ということになります。これは縄文時代~明治時代前期の平均寿命の推定値とほぼ一致します。

人間を車に例えると、車の寿命が積算走行距離の影響をうけるのと同様に、人間本来の寿命は、生まれてからの総心拍数によってある程度は決まってくるのかもしれません。



しかし、現代のように人間が80歳まで生きると、生まれてからの総心拍数は約30億回に達する計算になり、これは他の動物の一生涯の総心拍数の2倍以上になります。その主な理由の1つとして、栄養状態や衛生環境、医療の進歩など、様々な寿命に影響を与える因子が改善されたことが考えられます。

心拍数は高血圧、脂質異常、高血糖、肥満などの生活習慣病の存在と関連することが分かっています。心拍数が多い人は、少ない人に比べて、心臓や血管の病気を発症する危険性が高く、死亡の危険度も高いというデータがあります。よくビックリした時に、“寿命が縮まる思いをした”ということがあります。

心拍数は、人間の心理状態に関連する自律神経の働きの影響を受けて変動するので、ストレスや緊張が続けば、心拍数が増加し、本当に寿命に影響することだってあるかもしれません(ただ1回ビックリしただけで、それが寿命に影響することは通常ありません)。



このように、生を受けてから毎日休みなく働いている心臓、その心拍数は心身の健康状態を反映しているとも考えられます。血圧と同様に、安静時の心拍数(たいてい脈拍数で代用できます)を測ってみてください。もしいつも心拍数が1分間に80回以上ある場合は、何か病気が隠れている可能性もあります。病院を受診して検査を受けてみてはいかがでしょうか?